フランクル心理学で知られるヴィクトール・フランクル。
フランクルはフロイト、ユング、アドラーに次ぐ「第4の巨頭」と言われる偉人です。
ナチスの強制収容所を生き延びた心理学者であり、その時の体験を記した「夜と霧」は、世界的ベストセラーになっています。
そして もう一つの著作「それでも人生にイエスと言おう」が、殊に有名です。
このフランクルの冒頭の言葉は とてもシンプルながら印象的で、辛い状況で苦悩する多くの人々に、ポジティブ・シンキングの本質を伝えてくれているようです。
ポジティブ・シンキングの嘘
一般に、ポジティブといえば、プラスに考えることを勧めているかに思われます。
けれど、ポジティブの意味するところを、日本人の英語感覚で解釈しているせいで、大きく歪曲されているようです。
”Positive” というのは 単に「はい/肯定」を意味します。
例えば、質問表に問いが書かれている際に、回答欄に Positive (ポジティブ)/Negative(ネガティブ)という選択肢があって、回答を選ぶようになっていたりします。
つまり、どんな問いであっても、イエス(はい)なら 回答はPositive を選び、ノー(いいえ、違います)なら Negativeを選択します。
この場合、Positive = 前向き、という解釈にはなりません。
ただイエス(はい、その通り)と言っているだけ。(良い、悪い)ではなく、(その通り)という意味です。
同じように、人生が投げかけてくる状況には、無条件に(はい、そうです)と言って受け止めなさいと、フランクルは伝えているのです。
良いよう(嬉しいことのように)に捉えよう! 前向きに 考えよう!という意味ではありませんね。
それでも人生にYESと言おう
ユダヤ人収容所の壮絶な体験のなかでは 厳しい現実を避けたり、楽観的に受け止めていれば大丈夫!といった 誤魔化しは 何の役にも立たなかったことでしょう。
(これほどまでに理不尽な世界であっても)それでも、わたしは人生にイエスと言おう!という 決意を感じさせる 力強さが 根底にあることが窺い知れます。
ポジティブというのは ある意味で ポジティブでない事象をも「人生が与える試練なら、わたしは引き受ける!」という覚悟を選択する言葉。つまり、避けようとせず、そのまま受容すること。
流行した “ポジティブ・シンキング”も、改めて その言葉 “Positive“のもつ意味を考えてみると、より成熟した意図が読み取れます。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー