今回は 物語をご紹介しますね。
あまりに、即興でスピリチュアリティなる果実を手にしようと、焦る人も大勢います。
(時間をかけても、自分は芽が出ないな…)
(もっと簡単に成功できると思ってたのに…)と。
でもね。
そんな期間こそが、実は誠実な探究心を試されている時間だったりするのだけれど。
皇帝の病状は深刻でした。
そのことは国民には隠されていましたが、宮廷では大きな懸案となっていました。
皇位継承者がいなかったのです。
このまま皇帝がなくなれば、内乱が起こるでしょう。
皇帝は、ふさわしい後継者を 短い間でどう見つられるのか、わからずに居ました。
国中のすべての町から 10代の少年を10人ずつ連れてくるように命じました。
こうして数千人の少年たちが宮廷に集められると、皇帝は少年たちに言いました。
「私には、永遠の安らぎの地に赴く時がいよいよ近づいている。
よって、まもなく後継者となる次の皇帝を選ぶこととした。
私が信頼する預言者たちは、君らの中から ただ一人、祝福を受けるに値する者が 皇帝にふさわしい勇気と知恵で我が国を統治すると述べている。
そこで、玉座につく者を選ぶために、一人ひとりに 種を一粒ずつ授ける。
この特別な種を持ち帰り、世話をして、育て、ちょうど1年後に ここに戻ってきて、植物を私に見せなさい。
持ってきた植物を審査して、次の皇帝を選ぶことにしよう。」
その日、リンという少年も その場にいて、一粒の種を受け取りました。
皇帝からいただいた種を大切に持ち帰ると、リンは母親と二人で種をまき、あらゆる限りを尽くし、世話をしながら 毎日、その成長を観察していくことにしたのです。
2週間も経つと、街のほかの少年たちは、自分の種がうまく芽を出し、元気よく育っているかを近所の人々に話し始めました。
それを聞いて、リンは不安になりました。
3週間… 4週間… … 2ヶ月が経っても…、リンの種には 何も起こらないのです。
少年たちは、自分の苗がいかに立派に成長しているかを語っているのに、リンは自分の種が全く音を出していないことが恥ずかしくて、誰にも話せずに居ました。
半年たっても、リンの種から何も生えてきません。
世話の仕方が間違っていたから、種は死んでしまったのだと考えました。
他の少年は 綺麗な花を咲かせたり、背丈の高い草を育てていましたが、ついに リンの種は芽吹きもしなまま 1年が経ちました。
皇帝による審査のために、少年たちは 自分の植物を持って宮殿へ向かいます。
皇帝から預かった特別な種なのに、それを育てることが出来なかったリンは 自分の命がどうなるのかと怯えながらも空の鉢を持っていかなくてはなりません。
皇帝に見せなければならないのです。
すでに宮殿に到着していた他の少年たちは、植物を立派に育てていました。
でもそれらは 様々な種類の草木や花々、果実であることにリンは驚きました。
それらの植物は種類もまちまちだったのです。
リンが自分の前に空の鉢をおくと、多くの少年はからかいました。
さて、皇帝が到着しました。
皇帝は、並んだ少年たちと植物の列を順に見てまわり、目に留まった美しい植物には称賛の言葉をかけたりしています。
けれどリンの前を通ると、皇帝はリンと鉢をチラリと目にしただけで、通り過ぎていきました。
まるでリンの姿が見えていないかのよう。
リンは皇帝の機嫌を損ねた!と思いました。
すべての審査が終わると 皇帝は玉座へ戻り、少年たちに言いました。
「少年たちよ。
美しい草木や花をよく育てたものだ。
君たちが手をかけ、心を尽くして植物を育ててきたことを、私は心から嬉しく思う。
君たちは、この1年で 生命と支えとなるもの(植物)に 注意を払い、どう育めば良いのかを充分に学んだようだ。
これなら、君たちは作物を作り、家族を養っていけるな。
君らは、これから田畑で根気よく働くこととなるだろう。
その能力を身に付けたことを、私は心から喜んでいる。
さらに嬉しいことに、私は 誰を皇帝に指名すればよいのか分かった。
リンという少年を連れて参れ 。
空の鉢も一緒にな」
リンは皇帝の命令を聞いて、気を失いそうになりました。
皇帝の機嫌を損ねてしまったからには一体どんな恐ろしい目に遭うのか、不安でいっぱいです。
ところが玉座の前に連れ出されると、皇帝は穏やかな声と表情でリンをじっと見つめます。
皇帝は群衆に向き直ると、力強く宣言しました。
「リンを見よ。新しい皇帝だ」
リンは混乱しました。
与えられた種を世話できなかった自分は死に値すると思っていたのですから。
皇帝は少年たちに話しました。
「1年前の今日、私は君たちに種を授けた。
種の世話をして、今日また宮殿に戻って参れと申しつけた。
しかし、私が授けたのは 決して育たない 茹でた種だったのだよ。
リン以外の君たちは皆、木々や草花を持ってきた。
君たちは 私の授けた種が育たないと分かると、別の種を代わりに用いたのだろう?
それでは 君たちが植物の育て方をどれほど学んだとしても、皇帝にはなれないな。
数千もの少年の中で、ただ一人、私の(芽のでない)種を入れた鉢を持ってくる勇気と正直さを備えた者、それがリンなのだ。
したがって、リンは唯一無二な皇帝にふさわしい。」
そう。
いつの日か、私たちは 誰もが自分の正直さと誠実さの果実を受け取ります。
あなたが受け取るのは、どんな果実かしら。
正直という種からは 信頼を刈り取る。
親切という種から 友を刈り取る。
謙虚という種を蒔けば 偉大さを刈り取る。
不屈という種からは勝利を刈り取る。
思いやりという種からは仲睦まじさを。
勤勉という種からは 成功を。
許しという種からは 和解を
ありのままという種からは 親密さを。
忍耐という種からは 進歩を。
信じるという種からは 奇跡を。
不正直という種からは 疑惑を。
利己的な行いという種からは 孤独を。
高慢さという種からは 破滅を。
羨みという種からは 問題を。
怠惰という種からは 成長の停止を
敵意という種からは 孤立を
むさぼりという種からは 損失を
陰口という種からは 敵を
心配という種からは シワを
罪という種からは やましさを刈り取るだろう。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー