物質を テレポート
本人自身のテレポーテーションのほかにも、物品を移動させることもある。
益章が小学6年生のころのこと。
私と近所の青年たち数人で部屋の家具を片づけ、益章と万年筆とテーブルだけにして戸を閉めて周囲を人で囲み、万年筆をテレポートさせたことがある。
万年筆は部屋からテレポーテーションし、一番遠くまで成功したのは 当時通学していた小学校の教室の益章の机の上まで。
益章の予告に従い、全員で教室に駆けつけると、万年筆は机上で直立していた。
万年筆は両端が尖ったもので、普通は立たない。
私が触れると斜めに傾いたが、またヤジロベエのように元通りに直立したのだ。
それを見て背すじがゾクッとした私が 手で強く叩くと 万年筆は倒れ、転がった。
また、ある雑誌社の取材を受けていたときのこと。
その時は益章の調子が非常に良く、すり替えられないようにサインしたスプーンを箱に入れ、蓋をした上に女性記者がそれを手で押えていたが、そのスプーンは隣の部屋にいた益章の手に出現したのだ。
あまりに信じがたい現象であることと、当時は超能力ブームの反動で社会的にも超能力否定のムードが強かったので、記事にしてもデッチあげと言われるとのことで、ボツになってしまった。
別の取材では、ミカンの表面に傷を一つもつけず、針金などをPKで内部に入れ、後で皮をむき、丸まった針金などを取り出してみせた。
このことは記事になった。
松戸市に住むフランス文学の平野威馬雄氏宅を訪問した時には、ごちそうになったメロンの残りの皮を、益章が2,3メートルほど離れた場所から自分の手元に引き寄せた。
メロンの皮が空中に浮び上がって益章のところに飛んでいったのではなく、皿の上からメロンの皮が一瞬フッと消え、本人の胸のあたりに出現したのだ。
益章によると、空中浮揚もスプーンをPKでゆっくり捩るのも、すべてテレポート現象で、瞬間瞬間に断続的にテレポーテーションをしており、一挙にテレポートさせるより、この方が非常に難しいそうだ。
つのだじろう氏のスタジオのビルの屋上から、プラモデル用のニューム管を数本、地上に落下させながら、途中の空間で消したことがあった。
ビルは四階建てで、地面から上まで 見通せる。
風のない日で、実験者である東大生数名が下から見上げていたが、ニューム管は途中からフッと消え、地上に落下してこなかった。
そして、そのニューム管は、後でまったく別の場所の地下10cmのところから クシャクシャに丸まって出てきた。
四国の僧侶が訪ねてきた時、益章が大型のスプーンを「消えろ」と言って宙に投げ上げると、スプーンの柄が消え、お皿の部分だけが落ちてきたこともあった。
以上のようなテレポーテーションは、常に完全にコントロールできるわけではない。
たとえば自分自身を移動させる場合にも、近距離であれば目的地に行ったままになるが、遠距離だとどういうわけか2~3分ほどで元の場所に戻ってしまうらしい。
益章は、何度もアメリカ・ウィスコンシン州のウップホップ博士の家にテレポーテーションを試みるのだが、遠距離になるほどターゲットが定まらず、アメリカのどこかに出現しウロウロしている間に 自宅に舞い戻ってきてしまうらしい。
大学に通学する時も たまにテレポートするらしいが、一挙に神奈川県の生田キャンパスまで行くことはせず、乗った電車から前を走る電車に飛石のようにテレポートするようである。
だがテレポートした後は 非常に頭が重く、気分が悪くなるので、あまりやりたくないと言っている。
益章は本人の幻覚か、精神だけの移動だろうと言う人たちに対し
「皆が言うように自分の錯覚かもしれないが、やはり身体が移動しているという実感がある。たまに心だけの移動も試みるが、それはテレポートとはまったく違い、透視に近い感じがする。それよりも幻覚なら、なぜ近距離の場合、目的地に立っているのだろうか」
と言っており、一概に嘘や錯覚というだけでは片づけられない。
タイム・コントロール
空間移動について述べてきたが、益章は ほかにも不可思議な現象を起こしている。
ある日、益章は私を自分の部屋に呼び込み「お父さん、このラジオを聴いてみて」と言う。
何気なく聴いていると 午後9時の時報を放送した。
それから2分ほどした時、前とまったく同じに また9時の時報を流したのだ。
怪訝に思い「録音したのか」と問うと「何もしていない」と ラジオを私に手渡した。
そのラジオは私が買い与えたスタンダードなものだ。
受信装置以外 何もついていない。
そして益章は「実は…時間を少しだけ逆転できるようだ」と話し始めた。
「お父さんも信じられないと思うけど、どうも時間をコントロールしているみたいだ。この前も学校のテストの時、答案用紙を出してしまってから1問間違っていることに気がついて 時間を逆転させて 書き直したんだ。その時、周りにいる自分以外の同級生たちは まったく同じ動作を繰り返すけど、僕だけは わずかだけど やり直しができるみたいなんだ。お父さん、時間が戻るのは、フィルムを巻き戻すのと違って いきなり過去に戻っているんだよ。でも 時間の逆転はつまらない。他人に知らせることができないもの」と言うのであった。
私は、今までの益章の超常現象を多く目撃しているが、この時間のことだけは、客観的に見るわけにはいかず半信半疑である。
ただ、益章が「時間の逆転はフィルムの巻き戻しとは違う」といった一言が、本人が時間のコントロールを僅かながら していることを、なかば信じても良いという気にさせるのである。
それは粒子レベルの世界では往々にして、時間の逆転があり、それは非対称性であるというのを本で読んだ記憶によるものだ。
発育するように 能力も進歩
この空間と時間は、我々が考えているように確固たる存在ではなく、何か混沌としているものではないだろうか。
それを、我々の心や頭脳が整理しているだけ、ではないだろうか。
以前、つのだじろう氏が、封筒の中に紙とボールペンを封印した後、益章に手渡した。
益章がPKを出した後、封を開いて紙を広げると「つのじろ」と書かれていた。
これらの現象は、初歩的ながらも 益章が空間と時間をコントロールできるからではないだろうか。
宇宙船(UFO)現象と益章の現象をみるにつけ、規模の大小はあるが共通点が数多くあるように思える。宇宙船(UFO)はこの時空の秘密を完全に理解し、はるか虚空から忽然と出現しているのではないだろうか?
益章は、常に客観的に他人に見せることのできるスプーン捩りと念写以外の現象を話したがらないが、私は敢えて これらの現象を 発表することにした。
スプーン曲げだけが超能力ではなく、それだけに注目していたのでは 超常現象の全体を掴むことができず、木を見て森を見ないからである。
私は、益章の現象に気づいてから10年間 観察しているが、この現象は益章という生物の能力であって、生物の発育どおり、初めはスプーン曲げ、スプーン切断などの破壊を覚え、次にスプーン捩り、念写などの創造に移っていった。
当初は自分のため、遊びのためだった能力をだんだん実用化し、最近は 徐々に社会化の方向に能力が出始めているのがよくわかる。
それは、幼児がオモチャを壊し、次に創り出し、人類が原子を爆弾にし、次に原子力発電を創出したことの共通性を感じるのは私だけであろうか。
私は超能力研究について、大脳生理学の発達に期待している。
(以上、転載)
潜在能力は催眠療法で活性化されることが示されており、クラスや個人セッションでも 日々、 色々な体験が起こっています。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー