転生(Reincarnation/生まれ変わり)やカルマ(Karma)、形而上学的セラピーをテーマにしたジョエル・L・ホイットン博士(*)による研究から、興味深いケースを 紹介しましょう。
転生説は 世界の多くの人々が信じるものとなった現代ですが、それは 大雑把にいえば、魂(ソウル)という非物質的な(己の)一部が誕生の初めの息吹とともに肉体に入り、その生涯に最大の影響を及ぼすという考え方です。
魂(ソウル)が体に宿っている誰もが、自己の行動や思考の結果として、様々な体験の”貸し借り”を蓄積しています。
そして人生の特定の時期に、この貸し借りを清算することが”カルマの法則”、”原因と結果の法則”として知られていますが、ニュートンの運動の第3法則「すべての作用には、大きさが等しく向きが反対の反作用が存在する」にも例えられるようにカルマの語源は、サンスクリット語の「作用、反作用」を意味しています。
この物理法則ですから、すべての人に等しく働くはずですが、そこには人智を超えた知性、独立した意図があると思われるケースがあります。
魂(ソウル)は地上での体験、記憶を蓄積し、様々なレベルの意識を持つとされています。
その記憶は、生と生の間にも引き継がれるとしたら、人間の客観的な顕在意識レベルでは理解できるはずがありませんね。
なぜなら、脳による客観意識は、誕生後からの記憶しか持ち得ないからです。
しかし一方、魂(ソウル)は 人格として表現されていると考えられ、その人格とは 過去のすべての人生から構成され、特定のいくつかの記憶と特性を受け継いでいると思われるケースがあります。
このように旧い記憶、原因と結果の関係は、魂レベルの(非常に)長いスパンで観ていかねば 理解できないもの。
潜在意識を介し、直感的にただ そう感じるか、直感的な手法であるヒプノセラピー(催眠療法)のほか、その記憶を呼び起こす手段を、人類は持っていません。
(*ジョエル・L・ホイットン博士:Royal College of Physicians and Surgeons、🇨🇦トロント大学 Clarke Institute of Psychiatry/クラーク精神医学研究所の神経生理学・精神医学研究員)
催眠トランス状態の被験者が、複数の人格を現すことは よく知られていますが、ホイットン博士による実験でも、自発的に参加した被験者の7%が 催眠状態で 副次的な人格を示しました。
現在の自意識から離れる自己暗示力が低い 他の被験者より、これらの被験者は 心理的により健康で、より自由で、催眠暗示に対応できたようです。
副次的な人格は、過去の潜在意識の記憶と、現在の意識が混じり合い、構成された可能性がありますから、検証的に進めるしか方法がありません。
それでも、いくつかの事例では催眠トランス状態にある被験者が、平常時には知らなかった知識や技能を示しました。
例えば外国語を話す(異言語現象)ことです。
これらは転生の証拠であると解釈されてきましたが、テレパシーやクレアボヤンス(Clairevoyance/透視)など、サイキック知覚で可能とする説もあります。
クレアボヤンス(Clairevoyance/透視)は、未来のことを知るだけでなく、過去の情報も知る性質があります。
サイキックな知覚、感性が活性化する催眠トランスの状態では、それが本当の過去記憶なのか、それともクレアボヤンス(透視)によって得た他者の知識であるかを 区別できないのです。
そう考えると、今も昔も、誰も ”それ”を知らず、知られていたこともない知識が思い出されたら、それが転生説を立証する条件になりますが、その条件自体、現実には あり得ません。
ただ単に催眠トランス状態の被験者が、今世で知らない知識を思い出しただけでも、価値は充分あると考えるしかないようです。(今のところは)
退行催眠テクニックでは、催眠トランス状態に誘導したあと、被験者に年齢を逆行する暗示を与えます。
この暗示により、被験者は 幼い頃や過去世と思われる体験を語りはじめます。
この本格的なヒプノセラピー(催眠療法)を受けたい場合は、潜在意識や、以下に挙げる現象パターンなどについて、広く深く正規トレーニングを修めた認定セラピストや、多彩な専門テクニックを用いる経験豊富な認定トレーナーによる施術であれば もっとも上手くいくでしょう。
*催眠トランスを用いた安易な使用に対しては警告されていますが、それには重要な意味があります。
過去世の記憶の調査・研究として、30代後半の男性のケースがあります。
彼から出てきた2つの人格は、彼自身が学習したこともない言語を断片的に話し、書くことができるようでした。
その言語とは、バイキングの言葉である古ノルド語とペルシャのパフラヴィー語(紀元前 約4世紀)で、これらの言語は存在が確認されています。
調査が進むにつれ、被験者は いくつかの人生を報告しました。
・ヘンリーという名の若い男性でアメリカ南北戦争の初期に戦死した。
・フィリップという名のフランス下級貴族で、フランス革命の際に処刑された。
・ハリーとい名の港湾労働者で初期のエリザベス朝時代に、英国に住んでいた。
・トールという名のバイキングの戦士で、10世紀ごろに古ノルド語を話していた。
・クサンドという名のペルシャの若い神官で、ササン朝のパフラヴィー語を書いていた。
・シメオンという名の少年で、紀元前800年頃に地中海の東にあるヘブライ人の村に住んでいた。
そして、思い出した物語の中で、被験者の現在の姉は、かつてのヘンリーの姉であり、ハリーとトールの知人であり、クサンドの母であり、シメオンの妻でした。
この被験者である男性には、人生を振り返りたい思いがあって、この実験に参加したのですが、非常に興味深い経緯を辿ることになりました。
彼が 以前に、ハリーとして生きていた人生で、彼は(当時でも姉であり、現在の人生でも姉である)姉の結婚に反対し、破談にしたことで、姉が自殺してしまったことを被験中に思い出しました。
そのことを知って 深く悔いた彼ですが、ちょうど現実の世界では、姉が腫瘍を患い、余命幾許も無い宣告を受けていたために、彼は前世の償いをする覚悟で、自分と姉の命を交換してもいいから姉を救ってほしいと、神に祈っていました。
すると姉の腫瘍が治り、奇跡が起きたようでした。
そして、代わるように、今度は 彼に腫瘍が見つかったのです。
彼も治る見込みのない重症でした。
彼は、前世のカルマを清算する機会が訪れたことを悟りました。
抵抗することなく、この災難を受容したのです。
すると どうでしょう!
彼は、自身が 深く癒されたことを 感覚的に知りました。
自分の死を覚悟したところ、彼自身の容体も寛解していったのです。
このケースは、カルマと転生説について、私たち自身が 通常は 知ることのない要素が、人生や健康に深く重大な影響を与える可能性があることを示しています。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー