先日、受講生から「地下に暗室を持つお寺があるんですよ」と教えていただきました。
ヒプノセラピー(催眠療法))でも「深く深く 階段を降りる」ように、心を鎮める誘導法がよく知られています。
これをステップ法(階段)といいます。
初めてのクラスで学ぶのは 大抵、この シンプルなステップ法。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)の声に聞き従い、心の下方へと降りていくプロセスでは、脳波や呼吸が緩んでリラックスしていき、意識はトランス状態に導かれていきます。
古代エジプトでは、ピラミッドの奥に深く入っていく「回廊」がその役割を果たしていました。
そう!
3大ピラミッドに関しては、お墓ではありません。
このことは、エソテリックな伝統組織に継承され、現在へと伝えられています。
チベットやギリシャへと、この原初の瞑想テクニックは伝承されたのです。
ヒプノセラピーの歴史はたいへん古く、それは人類の歴史とともに、常にそこにあったのです。
さて、長野にあるという そのお寺は「善光寺」。
漆黒の空間は、手で壁を伝いながら歩を進めなくてはならないほどの「暗さ」だそう。
その中を進み、さらに奥に入りきると「ハッ」とするように、上部からの 一筋の光明が 目に飛び込んで来る、といった 仕掛けです。
文明の灯りに慣れている私たちは「暗さ」を味わう事がありませんが、この一筋の光明が「如来の光」に感じられるという効果を引き出すのですね。
ところで、かつて私は、ニューヨーク=東京間のフライト途中のアラスカで、氷河観光に出かけました。
中間地点となるアラスカの地で、東京から到着した乗務員グループは降機し、今度はニューヨークに向かう別の乗務員グループが、飛行機を受け持ちます。その入れ替わりのため、2日間ほどのオフ休日があったのです。
当時の私は、各地で観光することが まだまだ楽しみな. 新人乗務員。
先輩がたとご一緒ですから、不案内な現地ツアーも気楽なもの。
北半球の季節は、夏。
アラスカでは白夜のシーズンです。
薄着しか持っていなかったので、市内のウォールマート(大型スーパー)で、セーターを買い込んで、氷河への旅に出発しました。
真夏でも氷河ですからね。
ほんと、寒さの度を超えて、凍りそう!
今でも写真を見るたび、あの寒さが思い出します。
さて、そんなツアー行程が終る頃。
街に戻ろうという時に天候が悪化し、帰りのセスナ機が飛ばなくなりました。
翌朝 早くには、アラスカ発の便に乗務しなければならない私たち。
もしホテルに帰れなけば、翌朝の乗務便への遅刻は必至です。
乗務員のグループが揃って乗務に遅刻するなんて、全社に知れ渡る大失態。
始末書は確定!という、滅多にないスリルも経験できました。笑
まぁ幸いにも、数時間のウエイティングののち、超大型バスでアラスカの中心街まで、夜通しの長距離運行が決行されることになりました。
朝までにホテルに戻れれば、とりあえず仕事に間に合います。
アラスカのずっと北方、アザラシやホワイト・ホェール(白鯨)がいる氷河から、とんでもない距離をバスで走り抜きました。
そして無事に、同僚みんなで 街のホテルに戻ることができ、そのままバタバタと身支度を整えて、乗務に戻ったことも、いまは懐かしい笑い話です。
忘れ得ない 大自然の闇
あの夜の体験は、今でも印象深く 思い出されるんですね。
そのツアーバスには世界中の観光客が大勢 乗っており、みんなスヤスヤ眠っていました。
一日中、観光をしたあとですし、凍るほどの氷河で時間を過ごしましたから体力も消耗していたでしょうね。
でも、ちょっとしたハプニングに興奮していたのか、私は 窓越しに外を ずっと見つめ、眠れずにいました。
何も見えないのですが、その暗さにただ圧倒されていたのです。
大自然の中、どうやら山中の崖っぷちを走行しているらしいことは、下の方から渓流(ザーザーと激しい滝のような水音)の音が轟くように 響いてくることから察しました。
灯りの一つもない大自然。深夜の運行。
運転席に目をやると、ヘッドライトの数メートル先しか見えていません。
悪天候だったせいで 霧でも発生しているのか、視界も悪い。
道を外せば、下は崖のよう…。
大自然の中に 取り残された気分。
都会しか知らない育ちの私にとっては、闇 を初めって知った体験でした。
本当の夜の闇を、意外と私たちは知らないのかもしれません。
一歩先まで見るのがやっと、という闇にいるとき、おそらく人は 自然に対して畏敬を感じ、謙虚になれるんでしょうね。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー