時々、このような質問をいただきます。
「ヒプノセラピーを受けたことがありますが、見えた(感じた)物語はただの妄想ではないでしょうか?」
これは、ヒプノセラピストが事前に、催眠とはどういう状態で、また前世療法で浮かぶイメージには 心理学的に意義があることを説明していない場合に 湧き上がる疑問です。
専門ヒプノセラピストは、しっかり事前説明と被催眠テストを済ませ、催眠状態とは何か、その身体変化やビジョンの見え方、感じ方を理解したうえ、本格的なセッションに入っていきます。
その手順を省きますと、全く効果的ではありません。
「単なるイメージなのでは?」と疑問を感じたままに終わってしまっているケースがあることをお聞きするたび、トレーナーとして 残念に思います。
また、クライアントの皆さんに疑念が生じているまま終了するなら(そして事後の解説時間などを設けていなければ)おそらくプロでもないでしょう!
真似が簡単にできるのも催眠です。
※アウェアネスIns.には、過去に他所でセッションを受け、その際に催眠について、その状態やビジョンについて説明を受けなかったために、体験したビジョンはただの連想ゲームにしか思えず、長いこと疑問が残ってしまった…と仰るクライアントさんが、非常に!多く訪ねてきます。今度こそは「ちゃんと体験したい!」と思われて、専門のアウェアネスIns.にいらっしゃるんですね。ご参考までに、本場・米国の公式認定スクールでは、事前のテストや説明を必ずおこなうよう、必ず!指導しています。
もし皆さんが、自分で試してみる場合、または、専門手順をきちんと踏まず、事前説明や暗示の準備テストもないままヒプノセラピーのセッションを受けて…
疑問が残っていましたら、参考になさってください。
彼女には特段、トラウマめいたものはない。
けれど、今の目標が定まらない焦りがあって、イギリス留学もしたいし。
なんだか分からないけれど、海外で大きく冒険したいという。
3,2,1….催眠を深めるカウントダウンが始まる。
すると彼女のまぶたが、かすかに動き始める。
夢の中の光景をみるように。
彼女は、(いや、ここからの 前世イメージの中では 彼女は 男なので “彼‘と呼ぶことする)
…彼は、ジェイと名乗り、ドイツのビール工場で働いている。
原材料は麦。
おおきな木樽が並ぶ工場にいるらしく、いま、そこで彼は本当の夢を諦めて、無為な人生を送っている。
唯一の楽しみは、仲間とバーで一杯やること。
セラピスト:なるほど。夢はなんだったのですか?
彼:(悔しそうに眉間をゆがめながら)大きな街に出たかった。
もっと冒険ができたのに、諦めてしまった。
(こうした場面では、たいてい男性的な口ぶりになる)
セラピスト:その大きな街の名前は?
彼:ダ…ダブり・・ん?(どうやらそんな発音を感じるらしい。もし、ダブリンとすれば、ここはドイツではない可能性も念頭に置いて、セラピストはセッションを進める)
セラピスト:ところで、どうして街へでることを諦めたの?
彼:家を継がなくてはならない。弟がいたけれど、事故で死んでしまったし。
セラピスト:弟さんのお名前は?
彼:マイク・・・妹はアシュリー。
(ここで、名前もドイツ風でないことが分かるが、このまま進行する)
このあと暫くして、私は彼を、およそ120年前の、56歳でその命を終える日へと導き、そこから中間生…死後の世界…での「今生の回想」シーンへ入っていきました。
死後の中間生にいき、彼がおこなった「人生の反省会」で、彼が語ってくれたのは、まことに興味深いものでした。
もし、大きな街に出て、冒険にみちた生涯を選択したら、充実をもっと感じて、本来の寿命は83歳まであったということを、高次元の存在から知らされ 後悔を感じているところで、長い催眠から現代に戻りました。
潜在意識の扉をあけると、前世のイメージや記憶のようなものがリアルな感情を伴って湧出します。
時代や国籍、性別など、別のアイデンティティ、意識を発見して(これ、自分?)と想いながらも、哀しくなって涙がでたり、怒りでムカムカしたり、言葉つきや声が変化したり、痛みを感じたりと、体感の変化も生じます。
潜在意識は夢見とおなじで、現実と非現実を区別できません。
そこで、こんなふうに二重人格的な感覚になって、皆さんがビックリする瞬間です。
これが正常なヒプノーシス(催眠)。
記憶にはバグもある…けれど
ところで潜在意識は、膨大な情報を抱えるスーパーコンピュータ。
潜在意識から湧き上がる感情には重要な意味があるはずです。
ですが、多くの情報の中から、潜在意識が特定の記憶を「検索」すると記憶の歪み、「バグ」も含まれます。
過去生退行の記憶では、80%は真実で10%は比喩、10%が歪みや妄想と分析されています。
上述のケースでは、地名や名前から推察するとドイツではなく、アイルランドでの前世かもしれません。
すると当時の場所はビール工場ではなく、アイリッシュ・ウイスキー工場かも。
また ドイツのビアホールでウインナーをつついていたのではなく、アイリッシュ・パブだったのかも…ということになります。
こうなると、今の彼女(クライアント)がなぜかイギリスに特別な感情があることも腑に落ちてくるのです。
ところで上述の場合でも、アフターセッションで確認すると、ご本人は催眠中に(ドイツなのに、ダブリン?)と、顕在意識はきちんと認識、判断をしながら答えています。
もちろん、〔前世の記憶Ⅰ〕のケースでも、エジプトの記憶が 本当は(以前に見た) 旅番組の残留記憶だったとしても 構わないのです。
エジプトではなく、本当はギリシャかも知れません。
そうした枝葉の部分に拘らず、心の動き、感情やテーマをちゃんと見ていくのが、セラピストの役割ですから、ご安心を。
それに 私たちは、昨日のことでさえ 記憶違いを起こします。
魂に転生があるとして、魂には時間の感覚があるというのも、おかしな理屈。
ですから、年代についても 正確性を求めることも、前世の自分は誰だったのか、ということを対象に、セラピーはしません。
その正誤は誰にも判断できないので、占いの部類になってしまいますね。
前世療法で もっとも注目すべきは、どんな思いで人生を送った、とあなたの意識は語るのか?です。
顕在意識にはすこし引っ込んでもらって、潜在意識のお喋りを聞いてあげる―。
そこにメッセージ性を見つけ、トリートすること。
そのためには場所や年代という記憶の混濁、そして事実の前世か、潜在意識の妄想かという疑惑さえ、問題ではないのです。
もし、自分が体験したヒプノ・ストーリーが、あれこれの記憶のピースの混濁状態でも、年代的に計算が合わなくても大丈夫!
そのストーリーの底に流れるメッセージ性に目を向けてみてください。
璃子 Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー