エイブラハム・マズロー(米国・心理学者)の欲求段階説は、もはや”一般常識”にもなっているほどですが、米国でやはり 近年、大ベストセラーになった【ブループリント】を著したニコラス・クリスタキス(医学博士)は、その最終章で、斬新な意見を公開しました。

副タイトルに-進化論と人類史-とあるように、どの項目も動物の心理実験から始まります。

それが興味深く読み進められるのは(当然ながら)その分析は、いずれもヒトの心理への理解に繋がってくるから。

..というのは(普通は)誰もが他人の努力にタダ乗り(=フリーライド)しようという動機を持っているのに、”なぜ人間は利己的ではないのか?”とか。笑

チンパンジーゴリラゾウは、死に対して通夜行為をおこなったり、心痛のあまり死ぬことがあるとの報告から、死を認識して宗教観が芽生えた経緯を解析したり、クジライルカたちも、生涯にわたる親友や”名前”さえ持っている可能性から、個体識別能力など、動物行動学を引き合いにしながら、人間意識の要素をまとめています。

余談ですがある”チンパンジーの一族”に至っては、何の役にも立たないアクセサリーをつける習慣を発達させたという調査結果には、動物の進化は途上であるとの感を与えてくれます。

アウェアネスIns.ヒプノセラピーレッスンでも一部を引用させていただいている、リチャード・ドーキンスの名著【利己的な遺伝子】についても触れていますので、両著を読まれると、なお理解が深まるかもしれません。

さて、では マズローの説に触れていきましょう。

マズローの欲求5段階説

このモデルでは、例えば「第一の階層」では食事、睡眠、住居、性交への欲求を持ち、それが満たされれば、次の「安全の階層」で感情的、身体的な安全欲求を持ちます。

それが満たされると、次は友情や愛情、社会的な繋がりを持つことで「所属への欲求」を満たし、その次は他者から認められること、地位を得ること、尊重されることへの欲求を叶えようとします。

最後には、自分の潜在能力を発揮しながら、高度な動機をもって「自己実現をなす」欲求を持つとしていました。

こうして人間の欲求を順序づけ、縮図化したマズローは、人間の欲求は最も基本的なものから高度なものへと「生理的」「安全」「所属」「承認」「自己実現」の順に並べ、一方向に順に満たしていくと述べたのです。

マズローは、のちにこれを拡張し「超越欲求」という段階を発表しています。

超越欲求とは

超越欲求とは、最も高度な人間意識を指し、重要な誰か(または人間全般)、ほかの生き物自然や宇宙のために行動し、それらと関係を持とうとすること。

この定義はクリスタキス博士による表現です。

クリスタキス博士は「だが….(反語的意味合い)」と述べています。この欲求と動機の順序は、おそらく逆にされるべきだと。

例えば、難破船乗組員の例を挙げ、こう述べます。

生き延びた乗組員らが、食事や住居、安全への欲求が満たせたのだとしたら、それはひとえに友情と協力と学習への欲求を第一に尊重して、状況に応じたからだろう。

上位の超越欲求が、下位の安全欲求基盤であり、下位の安全欲求には、その上の超越欲求までもが含まれていて、その無私の精神姿勢が、人の基本的欲求を最も効率的に満たせるのだと。

つまり、他者地球全体の平和がない限り、私たちの誰が一個人が生存していても(例えば世界でたった1人あるいはたった数十人が生き残っても)意義は感じられない…。

もしそうなれば、生存欲求安全欲求が薄れてしまうことになってくるでしょう。

実際に、多くの人は”自分だけ生き残りたいなんて思えない”でしょう。

ここでも階層の輪廻、つまり螺旋のようにグルグル巡る形をしている幾何図形、または循環システムでもいいのですが、それが見てとれます。

私たちは、それぞれの段階行動原理において、ぐるぐると回転しながら成長していくもので、それは神秘学の教えに則った 基本構造と思われます。

こうした大局的な視点に立てば、日常のささいな違いに目くじらを立てることもないほど、覚醒した気持ちになれるものです。

璃子 Riko Claire

アウェアネス・インスティテュート

Awareness Institute


ヒプノサイキック

レッスン / セッション


米国催眠士協会・米国催眠療法士協会

認定トレーナー